カテゴリー「離婚調停」の記事

男の離婚

調停事件を家庭裁判所で、裁判官の立場で関与させていただいていますが、調停の申し立てについては、女性からの申し立てが圧倒的に多いということに気付きました。

要するに、男性は、受け身の立場であることが殆どだということです。

大企業に勤めていたり、公務員や、医者、経営者など、経済力のある男性は、離婚の場面では妻に対して婚姻費用や財産分与など、支払いを求めらることが多いのですが、社会的な地位のある方ほど、法的な自分の立場を分かっておらず、独自の主張を繰り広げられることに驚きます、というか呆れます。

調停ですから、代理人を立てずに、本人だけでいらっしゃることが多いのですが、まず、法的に婚姻期間中は、婚姻費用分担の義務があること、離婚の際には名義の有無に関わらず婚姻期間中に形成した財産は折半が原則であるということを理解してもらうの一苦労です。ネットでちょっと検索すれば、わかることなのに、感情的に理解できないのでしょうか・・・

男の立場で調停を有利に運ぶには、独自の主張を展開するのではなく、法律の原則を踏まえた上での主張をする必要があります。

調停では、「あるべき論」と「これしか払えない論」が衝突することになりますが、世の男性方には、任意に払えるお金が最大どれくらいなのかということを誠意をもって説明することが求められることになります。

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離婚調停雑感

昨年9月から、家庭裁判所で、非常勤裁判官(調停官)として離婚調停に関与させていただくことになり、この1年間で延べ300回以上の調停に立ち会って、確信したことがあります。

調停で当事者が納得して解決するのがベストだということです。

調停前置の原則で、離婚の場合は必ず調停を先行させることとされていますが、手続きとしてそうなっているのには、まことにもっともなことだと思います。

離婚事件において、夫婦間の問題で、事実認定をしてどちらが悪いとか、どのような出来事があってそれがどのように法的に評価されるのかということを、赤の他人の裁判所に判断してもらうというのは悲しいことです。

最近もタレントの離婚事件でおもしろおかしく報道されていましたが、二人だけの秘密であるはずのありとあらゆるプライバシーが公にされ、非難しあうほど辛いことはありません。

調停では、どちらが悪いとか、そういうことはひとまず棚に上げて、お互いがこれから前向きに生きていくにあたって、どうすれば相手が納得すると思うのか、というところにそれぞれが思いをいたしてもらうということろからスタートします。

最近、わたしが当事者に投げかけるキーフレーズは、「調停を成立させるお気持ちがあるんですか?」というフレーズです。このように言えば、とりあえず、調停のテーブルについている当事者は、どうすれば調停が成立するのかという視点で双方歩み寄って妥当な解決ができると思っています。

弁護士の立場ではこのようなフレーズをいうと「どっちの味方なんですか?」と言われて信頼を失ってしまいますが、裁判官の立場で当事者を説得するのは、はるかに説得しやすいと感じます。信義に照らして妥当な結果で双方納得していただいて調停が成立した時は、人の役に立てたということを実感でき、調停官をさせていただいてよかったなと思えます。

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婚姻費用分担その1

去年10月から家庭裁判所で裁判官(非常勤)として離婚調停の仕事にかかわるようになりました。週に1回の勤務ですが,半年間でかなりの件数を取り扱い,弁護士としてこの12年間に取り扱った事件数をはるかに超す事例に接しました。

離婚調停に付随して「婚姻費用分担請求」にかかわる問題をお話ししたいと思います。

夫婦である以上,互いに生活保持義務があります。要するに夫婦が協力し合って収入を出し合い生活を維持する義務です。別居しているからといってこの義務を免れるわけではありません。多くの場合,夫の方が収入が多いので,妻が夫に婚姻費用の分担を請求することになります。

妻からの請求を受けて,婚姻費用を支払いたくない夫の抗弁として代表例は,「勝手に出て行ったのだから払う必要がない」です。

なんとなく気持ちは分かりますが,法律的には,夫の主張は通りません。例外的に,妻の請求が「信義則に反する場合」には妻の生活費の請求が認められない或いは減額される場合があります。「信義則に反する場合」の代表例は,「不貞」です。

婚姻費用の請求は,一般的に緊急性があり,裁判所は迅速に判断しなければなりません,不貞の事実に争いがある場合には,時間をかけてその事実の存否を判断することはせず,別途離婚訴訟や慰謝料の裁判で結論を持ち越すということになります。

婚姻費用の算定に当たっては,家庭裁判所では,双方の収入から簡易に算定できる表を作成しており,調停の実務ではこの表をベースに話し合いがなされています。

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